荷物の運搬に使われる簡易リフトには、様々な法令があることをご存知ですか?
簡易リフトの定義は、法令で決められており、これ以外にも届出の提出やメンテナンスなど、様々な事項が定められています。
簡易リフトを使用する際に関わってくる主な法令をご紹介しましょう。
リフトには、様々な種類がありますが、具体的にどのような定義のものを簡易リフトと呼ぶのでしょうか。
簡易リフトは、労働安全衛生法により、定義や構造規格が決まっています。
第1条第9項によれば、搬器の床面積が1㎡以下、もしくは搬器の天井高さが1.2m以下の昇降機が簡易リフトの定義となっています。
また、用途は、荷物の運搬を目的にした昇降機のみが該当します。
労働安全衛生法第88条において、「計画の届出」を労働基準監督署長に提出しなければなりません。
「計画の届出」とは、設置報告書のことを指し、これを出さないと法律に違反することになるので、必ず提出しましょう。
第88条によると、危険な作業や有害な作業が行われる場所、または事故や健康被害の防止として、厚生労働省は定める機械を設置する場合、工事開始日30日前までに届出を出すことを義務付けています。
これは、設置だけではなく、機械の移転や主要構造部分を変更する際にも必要です。
計画の届出が必要な機械に関しては、労働安全衛生規則第85条で定められており、法に基づいて省令に定められているものが該当します。
簡易リフトに関する設置報告書は、労働安全衛生法にあるクレーン等安全規則202条で定められており、設置する事業者は所轄の労働基準監督署長に提出しなければなりません。
なお、クレーン等安全規則に適用されないケースもあります。
クレーン等安全規則第2条によると、載積荷重が0.25トン未満の簡易リフトは適用されないため、届出や報告義務は必要ありません。
載積荷重が0.25トン未満の簡易リフトは、仮設リフトの荷揚げ機に該当するので、法令に該当しないのです。
その分、自主的に安全な運用や保守点検をしなければならないので、そのことを理解しておきましょう。
簡易リフトの場合、公的機関による厳しいメンテナンスは求められません。
しかし、クレーン等安全規則第208条と第209条により、定期的なメンテナンスを行う義務は定められています。
第208条は、年次点検に関する法令で、簡易リフトを設置した場合は1年以内に1回、定期的に自主点検しなければなりません。
簡易リフトの年次点検を行う際、荷重試験を行う必要があり、最大載積荷重にあたる荷物を乗せ、定格速度で昇降作動を行い正常に動くのか確かめる試験になります。
第209条は月次点検に関する条例で、1ヶ月以内に1回、定期的な自主点検が必要です。
法令により主要部分にあたる巻過防止装置やその他安全装置、ブレーキ及び抑制装置、ワイヤーロープ、ガードレールのメンテナンスが定められています。
異常や損傷、状態に問題がないか細かくチェックしていきましょう。
1年以上、または1ヶ月以上、簡易リフトを使用しない場合は、自主点検は省いても問題ありません。
しかし、再度使用する場合は、2つの法令と同様の自主検査が必要なので、忘れずにメンテナンスをしましょう。
簡易リフトは、工場や店舗で効率良く、そして安全に作業するために必要な機械です。
安全に運用するために、定義から設置、メンテナンスまで細かく法令で決められていることを理解しましょう。
各法令・規則に定まっていない簡易リフトの場合、大きな人身事故を招く恐れがあります。
企業のコンプライアンスが重要視される時代のため、荷物を乗せるための機械であっても法令を把握し、適切に運用することが大切です。
簡易リフトを導入する際は、各法律に適合するものを選び、設置時や移転の際に必ず報告書を届け出て、事故を未然に防ぐためにメンテナンスは怠らないように注意してください。
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